
1951年の旧暦7月、ツァンサル家に生まれたトゥルク・チョキ・ニマ・リンポチェは、長きにわたり希少なバロム・カギュ系譜を守り伝えてきたトゥルク・ウルゲン・リンポチェの長男です。チョキ・ニマは「法の太陽」を意味し、わずか18か月で、2世紀のインド哲学者ナーガールジュナの化身とみなされるドリクン・カギュ派のラマ、ガル・ドゥプチェンの第7世として認定されました。
ほどなく中央チベットのナクチュカにある前世の寺院、ドロン・ゴン・トゥプテン・ダルゲ・リン僧院で即位し、500人の僧侶を導く法師としての務めを再開しました。1959年、チベットへの中国侵攻直前に、両親と弟のツィキェ・チョクリン・リンポチェとともにシッキム州ガントクへ移り、その後インドのダージリンにあるYoung Lamas’ Schoolで学びました。13歳でチベット仏教カギュ派の本山ルムテックに入り、以後11年間、16世ギャルワン・カルマパ、ディルゴ・キェンツェ・リンポチェ、トゥルク・ウルゲン・リンポチェらの指導のもと、カルマ・カギュ、ドリクン・カギュ、ニンマの諸伝統に深く身を置きました。
ヴァスバンドゥの『アビダルマコーシャ』、マイトレーヤの五論、ダルマキールティの『プラマーナヴァールティカ』、シャーンティデーヴァの『菩薩行論』、チャンドラキールティの『中論入門』など、古典哲学の精緻な学習を重ね、若くしてケンポの学位を取得しました。
1974年には、ルムテックで第16カルマパ、ランジュン・リクペ・ドルジェの個人補佐を務めたのち、両親と弟のいるネパール・カトマンズ近郊のボウダナートへ移りました。そこで第16カルマパの勧めにより、大ジャルン・カショール・ストゥーパの北側にカ・ニン・シェドルブ・リン僧院が建立され、完成した1976年、25歳でその座主に就任しました。さらにカルマパは、西洋の実践者への指導に力を注ぐよう励まし、リンポチェは英語力を磨き、ネパールを訪れる西洋人や旅行者に週末の法話を始めました。現在も「Saturday Morning Talks」として続く無料公開講話は、この時に生まれたものです。
1980年には、トゥルク・ウルゲン・リンポチェが長男と通訳エリック・ペマ・クンサンを伴い、東南アジア、ヨーロッパ、アメリカを巡って仏陀の教えを広めました。各地でゾクチェンとマハームドラーの教えや灌頂を多くの学び手に授けています。
ネパール帰還後の1981年、リンポチェはRangjung Yeshe Institute for Buddhist Studiesを設立しました。ここでは毎年、仏教に関する国際セミナーやシンポジウムが開催されています。1997年には、世界各国の学生が体系的に学べる国際仏教大学院シェドラを加え、3年から5年の学修で仏教学のBAおよびMAを取得できるカトマンズ大学のCentre for Buddhist Studies設立にも貢献しました。
同じ1981年にはRangjung Yeshe Publicationsも創設し、長年にわたり数多くの重要書籍を世に送り出してきました。著作、解説、法話はUnion of Mahamudra and Dzogchen、Song of Karmapa、Bardo Guidebook、Indisputable Truth、Present Fresh Wakefulness、Medicine and Compassionなどに収められています。
英語に堪能なリンポチェは、1977年以降、西洋の学び手に向けて瞑想実践を継続して指導してきました。予定が許すときには、週に数回の朝、個人の聖室を開き、来訪者と直接対話します。毎年秋には10日間のFall Seminarを主宰し、基礎から深遠な内容まで仏教の教えを幅広く扱っています。参加者のためにチベット語で行われ、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語、中国語などにも通訳されます。
これまでにマレーシア、デンマーク、アメリカ、オーストリア、ロシア、イギリス、フランスでチベット仏教のダルマセンターを設立し、イスラエル、オランダ、メキシコ、ポルトガルにも学習グループが生まれました。毎年、ヨーロッパ、ロシア、アジア、アメリカ大陸を広く巡り、さまざまな仏教の場で教えを説いています。さらにハーバード大学やオックスフォード大学をはじめ、世界の著名な大学や教育機関でも講義に招かれています。
2006年にはDharmachakra Translation Groupを設立し、チベット語およびサンスクリット語の仏典を翻訳・出版する専門翻訳委員会として活動を続けています。
30年以上にわたり、主にカ・ニン・シェドルブ・リン僧院、アスラ・ケーブ・リトリートセンター、ナギ・ゴンパ・エルミタージュにおいて、約500人の僧侶と尼僧の生活と精神教育を支えてきました。出家者をさらに倍に増やしたいという願いのもと、関わる僧院やリトリート施設は今も発展を続けています。加えて、地元のチベット人やネパール人在家者のためにも日々心を配り、医療や教育を必要とする人々を支える慈善団体Shenpenを設立しました。Shenpenは、リンポチェの親しい西洋人弟子たちによって運営されています。